ネットショップを作る場合の選択肢と選び方まとめ

自分で作った手作りのアクセサリーやTシャツ、また企業で制作している商品など。店舗ではなくネットショップ(ショッピングサイト/ECサイト)で売る方が効率的なことは明白でしょう。理由は簡単で店舗販売には多くの場合は高い家賃を払って実店舗が必要ですし、実店舗の場合には店舗付近の住人か、たまたまその付近を通った人だけにしか商品のアピールができません。

先日まで私はWeb制作会社のディレクターをしていました。お客様から「何か作りたいものがある」という要望に対して、最初に伺ってそれに対する提案を行うことが仕事の1つでした。その中には「ネットショップを作って商品を売りたい」といった要望も多くありました。今売るべき商品があるのに、ECサイトがなく作る予定もない。という状態ははっきりってよく理解できません。もしチラシや雑誌広告に広告費を使っているなら、それを数ヶ月辞めてでもまずはネットショップを作った方がいいんじゃないかと私は思います。何故ならネットショップなら少なくとも店舗付近から日本国内へマーケットが広がるのですから。

ネットショップをどうやって制作するかについては様々な条件から選択が必要です。制作予算はもちろんのことやりたいこと/仕様が満たされているのかという選別は非常に大切です。

今回は一般的なネットショップ制作方法とそのメリット/デメリットをまとめます。

ネットショップを作る場合の選択肢と選び方まとめ

他にも方法はあるのかもしれませんが、ネットショップを作る選択肢は以下の通りとしました。

  1. 無料ASPを利用する
  2. 有料ASPを利用する
  3. EC-CubeなどのオープンソースCMSで構築する
  4. ゼロからスクラッチ開発を行う
  5. 楽天・Amazonなどの大型モールに出店する

細かく見ると最後のモール出店は通常のネットショップ制作とは異なります。しかし商品を出品して購入してもらうという意味では同等の為記載します。またこの方法以外に各企業が独自に制作するCMSを利用する方法もありますが、企業CMSは比較的費用が高く、私のも経験がない為今回は対象外としました。基本は大手企業が対象の選択肢で個人や中小企業ではこの選択はないかなと個人的には考えています。

それでは1つ1つの方法のメリットとデメリットを説明します。

1.無料ASPを利用する



BASESTORESなどの無料で利用できるASPサービスです。基本的にはメールアドレス1つあれば誰でも簡単にネットショップが作れるのが最大の魅力です。カスタマイズに関してもプロバイダ側から提供された仕様に則ることが基本であり、仕様の制限は大きく受けことになります。

無料ASPのメリット

  • 無料で利用可能
  • ITやWebの知識が不要
  • 一点物のハンドメイド商品など相性が良い
  • 「とりあえず使ってみる」がいつでも可能
  • セキュリティ部分の運用が楽
  • 無料ASP最大のメリットは「無料であること」。スマートフォン1つ、メールアドレス1つあればネットショップを作成することができ、パソコンも必要ありません。私自身テストでBASEを活用したことがありますが、ITやWebの専門的な知識がなくとも非常に使いやすく、一点物のハンドメイド商品などとは相性が良いかなと感じました。

    また無料であるため、とりあえずショップを開設だけしておいて自分の商品に合うのか合わないのかを長い時間かけてチェックできるのもの良い点です。カート周りは自分でカスタマイズできませんが、だからこそセキュリティ周りは完全にプロバイダ側におまかせです。セキュリティ部分はプロバイダが勝手にアップデートしてくれているので、サービス利用者側が意識する必要がほぼありません。もちろん受注メールの個人情報取扱など最低限の運用は必要ですが。

    無料ASPのデメリット

  • 多くの仕様制限を受ける
  • 制限を解除するには費用がかかる、解除できないものもある
  • 特別な仕様のネットショップには合わない
  • 反対にデメリットは仕様に制限を多く受けることです。サイズや色などの規格が多い商品、注文時に独自の入力項目が必要な商品、商品ごとに複雑な送料設定を設定したい、など独自の仕様を詰め込みたい場合には基本適しません。

    また無料のASPといっても、プロバイダ側は当たり前ですがマネタイズをしなくてはいけません。

    様々な料金プランがASP毎に異なりますが例えばSTORESの場合ですと、フルサービスが利用できる有料プランが用意されています。無料の場合ですと商品登録数など多くのの制限を受けることになります。BASEの場合ですと決済時にいくらかの手数料が発生します。同じくBASEのロゴを消すに月額500円がかかるなどオプション機能1つ1つを購入していくようなイメージです。無料の拡張オプション機能も用意されている為、試してみて利用する有料オプションが多すぎれば、後述する有料のASPに変更するといった手もありでしょう。

    2.有料ASPを利用する



    shopserveカラーミーショップに代表される有料ASPが次に安いコストで制作が可能です。

    こちらは無料のプランが用意されておらず、有料プランがいくつかの段階的に用意されているパターンが多いでしょう。プランの違いは商品登録数やディスク容量といった部分で、格安プランは問題なくネットショップの機能を有するが、いくつかの制限を受けるというパターンが一般的です。

    有料ASPのメリット

  • プラン加入以外にかかる費用が少ない
  • ITやWebの知識が不要
  • UIも作り込まれており使いやすい
  • セキュリティ部分の運用が楽
  • 基本私がメインで利用していたのがカラーミーショップで、他のいくつかの有料ASPは2週間の無料利用をしてみた程度です。基本的に有料ASPは長くサービスしているプロバイダも多く、ECに必要な多くの機能が既にほぼ搭載されています。また(かかるところもありますが)注文に関する手数料など含めて、通常運用であれば月額費以外の追加費用が少ないことも魅力です。

    そして無料ASP同様に数多くの方に利用してもらうことが前提のサービスの為、UIも作り込まれていてITやWebの知識が不要。カート以外の画面はHTMLとCSSでガリガリ書けるのでデザインをガッツリ自分好みにすることもできます。

    セキュリティ部分は無料ASP同様何もカスタマイズができない分、プロバイダ側へ完全に任せる形です。その為自分達で特別なセキュリティ設定を行う必要はありません。

    有料ASPのデメリット

  • 仕様制限を受ける
  • 制限を解除するには費用がかかる
  • 特別な仕様のネットショップには合わない
  • 一方で無料ASPよりも少ない制限ではありますが、いくつかの仕様における制限が伴います。カラーミーショップの場合ですと過去以下のような制限が当初予定していた仕様と乖離するといったことがありました。

  • S・M・Lといったサイズなどを定義する「規格」は2つまでしか設定できない
  • 送料設定が「全国一律」「注文金額にて設定」「送付先にて設定」「商品重量にて設定」と4パターンの決められた設定から選択
  • この辺りの仕様に耐えることができるのであれば、IT知識がなくても使いやすく商品登録画面も洗練されている有料ASPは優れた選択肢だと考えています。

    3.EC-CubeなどのオープンソースCMSで構築する

    EC-Cubeや、WordPressといったオープンソースCMSを利用してネットショップを構築する方法です。Wordpressは本来ECサイトに制作されたものではない為、WelcartWP-OliveCartなどのEC機能を付与するプラグインの導入が必要です。

    オープンソースCMSで構築する場合のメリットとデメリットは、多くの場合同様表裏一体です。

    「やりたいことはほぼ何でもできます。しかし何でもできるからこそ何でもやらなくてはいけません」

    変な日本語ですがこんな感じ。面倒ですが確実にやらなくてはいけないセキュリティ対応もここから始まります。

    オープンソースCMSのメリット

  • 仕様設計通りのネットショップがほぼ制作可能
  • 人気のオープンソースを選択すればWeb上に情報が大量
  • 制作/修正対応している企業も多い
  • オープンソースCMSの場合、ネットショップに必要な機能はほぼ最初から提供されていますが、それでも特殊な仕様全てに細書から対応しているわけではありません。もちろんそれは不可能だからです。

    例えばある特定のカテゴリーに登録されている商品の詳細画面だけは、特定の入力項目を詳細画面に追加したい。同じく特定の商品を選択した場合には決済前に特定の入力ページを表示したいといった場合です。基本そういった特殊な仕様であってもオープンソースの場合には、プログラミング能力があればほぼ改修が可能です。また自分で改修を行う場合には人気のオープンソースを選択すれば、Web上にカスタマイズに関する情報やコミュニティは大量に見つかるでしょう。これも大きな利点の1つです。

    どうしても自分では不可能な改修であっても、オープンソースを活用した制作業務に対応している企業は多く、企業へ見積もりをとって依頼することも可能です。

    オープンソースCMSのデメリット

  • 脆弱性対策などセキュリティ対応が必須
  • Web、サーバーなどIT知識が必要
  • 作業工数が肥大しがち
  • 一方でほぼ何でもできるオープンソースCMSですが、修正にはWebからサーバーからプログラミングまで幅広いITの知識が必要になります。もちろん運用するだけでもASPに比べればある程度ITの知識があることが望ましでしょう。また特定仕様が大量にある場合には改修作業工数は肥大しがちです。

    そしてカート内部も含めて全てがカスタマイズ可能である為に、セキュリティ対策も全て自分達で行う必要があります。オープンソースやサーバーの脆弱性改修に伴うアップデートがあれば、アップデートは全て自分達で行う必要があるのです。例えば定期的なアップデートを意識しないで改修を行なってしまうと、アップデート時にまた大きな工数が必要になるなど、制作前の設計も非常に重要となります。

    4.ゼロからスクラッチ開発を行う

    最も自由な設計ができるのが、スクラッチ開発です。スクラッチ開発は簡単にメリットとデメリットをまとめると「どんな仕様でも作ることができるけれど、めちゃくちゃ面倒で工数がかかる」です。スクラッチでネットショップを作ってくれ。と言われたら「めちゃくちゃ面倒くさいな」と単純に感じてしまいます。

    スクラッチ開発のメリット

  • 仕様設計通りのネットショップが完全に制作可能
  • 個人的にはネットショップを0からスクラッチ開発する必要ってあまりないのかなと思うのですが、あまりに仕様が特別でどのオープンソースを活用しても設計したネットショップの仕様どおりにならない。改修する箇所が多すぎるかそもそもできない場合には、何でもできるスクラッチ開発を選択することになるでしょう。

    スクラッチ開発デメリット

  • 脆弱性対策などセキュリティ対応が必須
  • Web、サーバーなどのより高いIT知識が必要
  • 作業工数が確実に肥大する
  • スクラッチ開発とはオープンソースなど活用することなく、独自で全てを制作する必要があります。例をあげるとオープンソースCMSをを活用すれば、商品登録や会員情報を操作する管理者ページは最初から提供されています。そういった画面・機能を作る必要はありませんが、スクラッチ開発の場合はそういった画面・機能まで全て自分で制作しなくてはいけません。その為より高いITの知識。そして作業工数は確実に肥大します。する可能性があるではなく確実に肥大します。

    またオープンソース同様にセキュリティを意識する必要があります。脆弱性のチェックも自分で行う必要があり、テストに関してもオープンソースを利用するよりも多くの工数が必要になることは確実でしょう。

    5.楽天・Amazonなどの大型モールに出店する


    最後にこれは細かく言えば上記の方法とは異なりますが、楽天・Amazonなどの大型モールに出店する方法です。Amazonの場合はお店を展開するというよりも商品を登録して出品するというイメージです。楽天の場合ではモールの中に1つのネットショップのように出店が可能です。以下のメリットとデメリットはAmazonも一部含まれますが、基本は楽天モールへの出店をベースにしています。

    大型モール出店のメリット

  • 最初から多くのお客さまに商品をアピール可能
  • 大型モール出店最大のメリットは巨大なモールに出店できるからこそ、最初から多くのお客さまに商品をアピール可能なことです。通常ネットショップを新規に制作した場合に、自然検索で購入まで進むまでにはある程度の時間が必要です。しかしモール出店の場合には、最初から楽天やAmazonで検索する方が多く、出店したその日から売上を見込むことが可能です。これは大きなメリットです。

    大型モール出店のデメリット

  • 出店に多くのイニシャルコスト・ランニングコストが発生
  • 楽天GOLDでは利用できないHTMLタグが多く存在する
  • 例えば楽天に出品する場合、最も安価なプランを選択しても初期費用含めて年間294,000円が必要です(2016年12月現在)。これにプラス手数料も発生しますのでこれ以上の出費が発生します。年間ですので2年目には追加で費用が必要です。多くのイニシャルコスト・ランニングコストが発生するのです。

    また楽天の場合には楽天Goldと呼ばれる自由にデザインできるエリアが存在します。そこにHTMLやCSSを利用して、ガシガシページを作ることができるのですが、利用できないHTMLタグが多く(iflameでどうにかする裏技はありますが)私は一度だけ触れたことがありますが、はっきり言って制限が多くめんどくさかったです。

    個人的にはネットショップはイニシャルコストはある程度仕方ないとしても、ランニングコストは可能な限り抑えた方が良いと思っています。ランニングコストを抑えた運用を考えると、大型モール出店はネットショップの細書の選択肢としてはないかなと考えています。

    やりたいネットショップの仕様に合致しているかを慎重に選択すること

    このようにネットショップを開設する方法はいくつも方法があります。開設するための費用として10万円、50万円、100万円、500万円と異なれば、その制作方法でも違いが出てきます。

    その為ネットショップを作りたい!と思ったときには具体的にどんな商品を売りたいのか。また売る際にはどのような情報が必要なのか。どのような決済方法で配送料金や配送会社はどうするべきか。といったことを事前に検討しておくべきです。

    そうすることでWeb制作会社やフリーランスのWeb屋(もちろん私も含めて!)は、その仕様の場合にはどうやって作ればいいのかを検討し、適切な料金を見積もることができます。

    是非やりたいネットショップができた場合には、仕様に合致しているかを慎重に選択してより良いネットショップを制作するようにしましょう!

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