スラッシュメタルは、普段メタルを聞かない人達が考えるメタルらしいメタルじゃないかなって思います。
ヘヴィメタルを良く知らない人、例えばヘビメタと解釈している人のイメージしている音楽に最も近いのがスラッシュメタルです。本当はヘヴィだからな!ヘビーじゃないからな!
スラッシュとはムチを打つという意味ですので、ムチを打つようにスピーディーで過激な音楽です。あと基本的にはヴォーカルもシャウトスタイルや金切り声が中心なので、メタルに拒否反応を持っている方にとっては聞いた瞬間に耳をふさぎたくなるかもしれません。
しかしヘヴィメタルを聞いてくると様々なジャンルの原点にスラッシュメタルはあり、ここを通過しないわけにはいきません。私も最初メタルにハマった高校時代はスラッシュメタルをあまり聞きませんでしたが、最近はお気に入りのバンドもかなりいます。
今回は数あるスラッシュメタルの名盤の中でも、必聴なおすすめ名盤を10枚ご紹介しましょう。基本的には一般的に名盤だと言われるものと、個人的な名盤を混ぜております。スラッシュメタルでも結構聞いてみると違いがあるので、まずは自分の好きなスラッシュメタルを見つけましょう。
スラッシュメタルの必聴な名盤10枚
1.Master of Puppets/METALLICA(メタリカ)
まずはスラッシュ四天王からいきましょう。その1バンド目はヘヴィメタルの超王道であるMETALLICA。
最も売れているであろう、有名であろうスラッシュメタルバンドMETALLICA。普段メタルを聞かない人でも、METALLICAの名前やTシャツを見たことくらいはあるんじゃないでしょうか。METALLICAって別にTシャツのメーカーじゃないですからね。スラッシュメタルの超重鎮ですよ。
その代表作であるMaster of Puppetsをおすすめします。日本ではメタルマスターの名前で有名なアルバムですね。
彼らの超代表曲であり、ライブの定番曲でもある「Battery」「Master of Puppets」で痛快にスタートするアルバムで、Orionに代表される叙情的で美しいメロディ展開など通常とはちょっと異なるMETALLICAらしいスラッシュメタルを楽しむことができます。METALLICAとは?という問に答えるいは最高の1枚です。
個人的にはMETALLICAの最高傑作は「Death Magnetic」なのですが、しかし一般的にこのアルバムが最も有名な作品で、最初に聞くべきアルバムと言えるでしょう。
2.Reign in Blood/SLAYER(スレイヤー)
スラッシュメタル四天王2バンド目。
実はSLAYERも2007年の名作「Christ Illusion」が好きすぎて一番聞いているのですが、一般的に言えば「Reign in Blood」が最高傑作、そして不動の名盤でしょう。「Christ Illusion」は全曲カオスなメロディと、縦ノリするしかないじゃんというリフが最高ですが。
「Reign in Blood」ももちろん大好きで、今でもよく聞きます。圧倒的な音圧、スピード、疾走とアルバム30分にスラッシュメタルの全てが詰め込まれています。30分ずっと速ぇ。ずっと純度100%のスラッシュメタル。
とりあえずストレス溜まったな。とか30分だけランニングに行こうかな。って時はReign in Bloodを聞こう!下手にミドルテンポとかないので、とても気持ちよく走ることができます。
歴史的な名盤なので色々と再発されていますが、新しめなバージョンはボーナストラックが付いていて、おすすめしません。「Reign in Blood」は30分で終わるからいいのです。ボーナストラックなど不要なのです。
3.Killing Is My Business… and Business Is Good!/MEGADETH(メガデス)
スラッシュメタル四天王の3番目、個人的には最初にスラッシュメタルに深くハマるきっかけになったのがMEGADETHでした。
2004年にMEGADETHの過去作品が全てデジタルリマスターされたので、それをきっかけにすべての作品を聞き込みはじめたのです。特にこの紹介するファースト・アルバムとか音質がスッカスカなので、デジタルリマスター版の方がいいです。私はなぜかそれを確認するために、ファーストはリマスター版も非リマスター版もどちらも購入しました。
元々METALLICAのメンバーでもあったデイブ・ムステインによるバンドで(というかムステインがいればそのバンドはMEGADETHなのだけれど)、自らインテレクチュアル・スラッシュメタル(知的なスラッシュメタル)と名乗る音楽を披露。
確かにMEGADETHも聞けば一発で彼らの音楽だとわかる、普通のスラッシュメタルではない音楽を展開してくれる。メロディもリフも展開も複雑だけれど、これがめちゃくちゃくせになるのです。ムステインのボーカルは線が細くてとても上手いとはいえないけれど、この音楽にはこの声しか合わない!と錯覚してしまうくらいに、合っているのです。
2nd「Peace Sells… But Who’s Buying?」や、最高傑作とよく言われている4th「Rust In Peace」とこれまた最高の名盤はありますが、個人的には同じく名盤中の名盤と言われる、1st「Killing Is My Business… and Business Is Good!」が最高!
始まりのピアノのメロディから、一気に荒削りながら激しい展開とメロディ、そしてなんとも言えない小気味よくてくせになるリフ。デイブ・ムステインがリフ魔神と呼ばれる理由がこのアルバムを聞いて腑に落ちたのです。このMEGADETHの1stはめっちゃ聞いた。
4.Among The Living/ANTHRAX(アンスラックス)
スラッシュ四天王最後の4バンド目、それがANTHRAX。
好みの問題なので申し訳ないのですが、スラッシュ四天王では一番ANTHRAXを聞いていない。しかしこのANTHRAXの人気を不動のものとした3rdアルバム「Among The Living」、そして前作Spreading the DiseaseはANTHRAXの最高傑作はどれか?を聞かれれば必ずは最初に名前がでる名盤で私も定期的に聞いています。
比較が非常に難しい名盤ですが、バンドの地位を築いた作品であり、1983年からANTHRAXの土台を支えるドラマーであるチャーリー・ベナンテ自身も最高傑作だと称える、「Among The Living」をまずおすすめしておきましょう。
スラッシュメタルには珍しいジョーイ・ベラドナの歌声はとても特徴的で、正確に歌い上げるヴォーカルはそうそうこのジャンルには存在しないスタイル。ボーカルも影響しえか、聞く人によってはスラッシュメタルというよりもオーセンティックなヘヴィメタルと感じる人もいるかもしれないレベル。しかしバンドのトレードマークであり、ヒゲを見れば一発でわかるスコット・イアンのリフはめちゃくちゃにかっこいいヘヴィメタル。
ミクスチャー・ロックの土台を作ったと言われるバンドでもあり、スラッシュメタルにだけにとらわれずに実験的なサウンドも随所に散りばめられています。
5.Shovel Headed Kill Machine/EXODUS(エクソダス)
スラッシュ四天王が完了したので、そろそろベイエリアスラッシュから名盤を紹介します。
サンフランシスコのベイエリアで結成された、ベイエリアスラッシュ。その中でも私はEXODUSと次に紹介するTESTAMENTが大好きですね。ベイエリアスラッシュはクランチ(直訳だと粉々に(かみ)砕くといった感じ)と呼ばれるサウンドが特徴的、まさにこの紹介するEXODUSの作品も戦車が暴れまわってぺんぺん草も残らねーぜ的なリフと勢いが凄まじい作品。
おそらくEXODUSの名盤といえば、3rd「Fabulous Disaster」あたりを推薦する人が多いのでしょうが、私は復活後の2005年発表作「Shovel Headed Kill Machine」を推します。
どの曲もめちゃくちゃヘヴィでクランチなリフがたまらなく、そこにChildren of Bodomのアレキシ・ライホを3倍くらいうまくしたよな感じのロブ・デュークスのボーカルが乗っかって、すんげーかっこいい。
6.First Strike Still Deadly/TESTAMENT(テスタメント)
まだまだ続くぞベイエリアスラッシュ・メタル。
ベイエリアスラッシュの代表的なバンドの1つTESTAMENTは、2001年に発表されたコンピレーションアルバム「First Strike Still Deadly」がおすすめ!
1987年、1988年にそれぞれリリースされたTESTAMENTの名盤と言われる、ファーストアルバム「The Legacy」、セカンド・アルバム「The New Order」をセルフカバーした作品で、音質や曲のレベルはどれも「First Strike Still Deadly」の方が上。
往年の名曲・佳曲がレベルアップして聴けるのは嬉しい。たまにセルフカバーでカバーする前のバージョンの方が良かったよね。というパターンがあるが、今作はどれも素晴らしい。
TESTAMENTはベイエリアらしくザックザクしたリフで切り込んでくるが、EXODUSほど攻撃的やブルータル度は低めで、構成も楽しめるし時折叙情的なメロディも味があって良い。TESTAMENTならまずは今作First Strike Still Deadlyから聞くのがおすすめ!
7.Act III/Death Angel(デスエンジェル)
ベイエリアスラッシュからの3バンド目は、デビュー当時の平均年齢が17歳と鬼のように若かったDeath Angel。
ファンク系の音楽を取り入れた唯一無二のスラッシュメタルサウンドで、特にこのサード・アルバム「Act III」はザクザクと切れ味の良いリフ、アグレッションや曲の構成、カオティックなメロディー、スラッシュメタルのくせにいきなり入るアコースティックなバラード要素、そしてファンク的なリズムなど何でもありのフック満載のアルバムで超名盤だ。Death Angelの初期の名盤は確実に今作さと胸を張って言える。
結構スラッシュメタルを慣れない人が聴いたときに起きる拒否反応が、曲がずっと同じ感じ。というものでしょうか。しかしこの「Act III」はバラエティに富んだ曲展開や、似たり寄ったりの曲がないので、そういった人に対してもアピールできるアルバムではないでしょうか。
このアルバムの後なんとバンドは事故なども重なり、次にリリースされるアルバムは14年後になる。このアルバムを聞かされて、14年待たされるのはとてもつらかったと思います。
8.Enemy of God/KREATOR(クリーター)
ドイツのスラッシュメタルも有名ですね。「ソドム」「デストラクション」とこのクリーターの3バンドを「ジャーマンスラッシュ三羽ガラス」と呼んだりします。個人的にはこの中ではクリーターが一番好きですね。ソドムも好きだけど、クリーターのサウンドがやっぱりいちばん好みです。
クリーターはスラッシュらしい攻撃力と高速のスピード感、そして唯一無二なヒステリックボーカルを聞かせるミレの声が特徴的です。タイトルソングの1曲目「Enemy of God」から超高速な攻撃的リフが攻め立てますが、展開や構成力も素晴らしく、聴いていて飽きない。さらに時折入るメロディもクサくなすぎることなく最高。
サード・アルバムの「Terrible Certainty」も素晴らしい出来だけど、全体的な完成度の高さなら「Enemy of God」。さらにいえばEnemy of God以降のアルバムはどれもレベルが非常に高くて、ドイツ最強のスラッシュメタルバンドはクリーターだと私は思ってます。
9.This Godless Endeavor/NEVERMORE(ネバーモア)
このバンドをスラッシュメタルの紹介に入れるべきかどうか迷いますが、スラッシュメタル的な音楽もやっているのでいいでしょう。
現在は活動停止中で、メイン作曲者のギタリスト「ジェフ・ルーミス」は、2014年から超メジャーメタルバンド「Arch Enemy」でプレイをしています。そんなアメリカはシアトルのバンド「NEVERMORE」の6枚目「This Godless Endeavor」も超絶傑作です。
ただのスラッシュメタルではなく少しプログレッシブな展開を持つ音楽が特徴で、どのアルバムもレベルが高いですがこの「This Godless Endeavor」が曲のレベルからメロディの奇妙さ、唯一無二の癖を持ちながらオペラ歌手としても5年のトレーニングを積んだウォーレル・デインのキレッキレ具合も最高です。
Arch Enemyのギタリストでありリーダーのマイケル・アモットが、ずっとNevermoreに目をつけていて(というか多分ファン。結局ルーミスを自分のバンドに入れちゃうし)、NEVERMOREの音楽を確か「最高のうねりがあるサウンド」と比喩していた記憶があります。
本当にNEVERMOREの音楽は他と比較ができない、超攻撃でありながらアメリカとは思えない狂気に満ちた、でも美しいメロディにあふれている。
早く復活して今作みたいな最高のアルバムを作ってほしい。
10.rEVOLVEr/THE HAUNTED(ザ・ホーンテッド)
最後も純粋なスラッシュメタルとはちょっと異なりますが、スラッシュメタルをより重く、激しくしたデスラッシュ気味なバンド「THE HAUNTED」をおすすめします。
というかこのバンドのアルバム「rEVOLVEr」と、次作「The Dead Eye」は、本当に大好き2004年、2006年のリリースから今でも10年以上聞きたくっているアルバム。「The Dead Eye」に比べると「rEVOLVEr」はよりわかりやすく、スラッシュメタルらしさを感じるアルバムで最高に気持ちいい!
メロディック・デス・メタルの礎を築いた伝説的バンドAt the gatesのメインメンバーであるアンダース・ビョーラーとヨナス・ビョーラーのビョーラー兄弟、そして弟のダニエル・アーランドソンはメロデスの有名バンドArch Enemyのドラマーである、エイドリアン・アーランドソンの3人が中心となったバンド。もちろん演奏力からリフのかっこよさ、リフの刻み具合、あぁもうなんていえばいいのかかっこよさがすごい。
またボーカルのピーター・ドルヴィングが素晴らしく、デスボイスからノーマルボイスの切り替えの上手さから、歌い上げもシャウトも最高にキレッキレでこの音楽にめちゃくちゃマッチしている。
デスメタルは好きだけど、スラッシュはちょっと…という方は結構いると思うので、まずはTHE HAUNTEDのアルバム「rEVOLVEr」から聴いてみてほしい。
他にもスラッシュメタルは名盤が多数!
今回紹介したバンド以外にも、カナダのAnnihilator、ドイツのSodom、Destruction、アメリカのOverkill、日本のOutrage、ブラジルのSepultura、またデスラッシュならスウェーデンのImpiousなんかも超良いバンドです。
スラッシュメタルは特にテンションを上げたいときや、ストレスの解消にも抜群。最近は私はランニング中はスラッシュメタルをよく聞きます。上記の紹介したアルバムは超有名な名盤から有名ではないが、めちゃくちゃかっこいいアルバムばかりなので是非聴いてみてください。
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