photo credit: Hishaam Siddiqi via photopin cc
私の読書生活で長い時間を占めるのは小説が中心です。
読書を始めたのは小学生時代。親が大量に子供向けの本を借りてきて、強制的に読まされて習慣化したのを覚えています。
会社員時代は完全に100パーセント小説ばかりを読んでいました。小学校時代からの友人が文学部だったので色々と教えてもらいながら、片っ端から読んでいった記憶があります。
最近はビジネス書、伝記、自己啓発書など様々なジャンルを読んではいますが、何かしらの小説を同時に少しずつ読み進める様にしています。
数多くの小説本を読んで本当に面白かった小説をとりあえず10選で纏めてみました。
もちろん個人的な感想ですし、偏りはあるでしょう。
が、私が読んでみて本当に面白かった小説なので、ご興味あれば是非手にとってみてください。
<365日小説を読んでいる私が選ぶ本当に面白かった小説10選>
photo credit: Mark J P via photopin cc
<1.正義と微笑/太宰治>
太宰治は個人的に一番好きな小説家で、全作読んだ数少ない小説家の1人です。
「正義と微笑」は太宰作品では珍しく暗く、厭世的でない明るい印象を持った作品です。私は太宰のこういった作品が大好きなのです。
内容は10代の俳優を目指す少年の日記形式で綴られていきます。太宰作品は読みやすい作品が多いですが、その中でも特に読みやすい部類の作品です。
▼「正義と微笑」は新潮文庫では、「パンドラの匣」と一緒になっています。
<2.それから/夏目漱石>
夏目漱石はどの作品が1番好きか非常に迷います。特に私は前期三部作が好きで、その中でもこの「それから」と「門」が好きです。
内容は主人公代助が友人の妻と共に生きる決意をするまでのお話。
この1909年という時代背景を考えても(まぁ今でも駄目というか厳しいですが)、友人の妻を奪うという恐れ多い事をする内容です。尚、私に文学を色々教えてくれた友人が一番好きな作品の様です。
<3.ガリヴァ旅行記/ジョナサン・スウィフト>
あの夏目漱石も大好きだったというガリヴァ旅行記。
結構子供向けとしても本が出ている作品。確かに1章のリリパット国、2章のブロブディンナグ国は少し子供じみた内容かもしれません。
しかし3章ラピュータ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリッブおよび日本への渡航記と、4章フウイヌム国では徐々に人間の嫌な部分というか、様々な心理が顔を出します。
風刺小説として有名な作品ですが、1つ1つの風刺は分からなくても十分に楽しめます。まぁ人類に対する風刺という趣もありますが。
読んでいて一番楽しかった小説がこのガリヴァ旅行記です。尚、新潮文庫の翻訳が一番読みやすいです。
<4.シャーロック・ホームズの冒険/アーサー・コナン・ドイル>
シャーロック・ホームズシリーズを全部読んでこの「シャーロック・ホームズの冒険」が一番面白かったのを記憶しています。
確かに最も人気があると言われる「四つの署名」、ワトスンが主人公の様に活躍する「バスカヴィル家の犬」など、ホームズは長編も面白いですが、私はホームズの面白さは短編にこそあると感じています。
12の短編が収録される今作。是非1日1話でも読んでみてください。
尚、ホームズは翻訳によってかなり趣が異なります。個人的には新潮文庫のホームズが一番カッコいい。渋い!
<5.ドン・キホーテ/ミゲル・デ・セルバンテス>
スペイン人のセルバンテスが投獄中に書いた作品。
又、聖書の次に世界的に出版されており、世界の著名な文学者100人が投票した「史上最高の文学百選」で見事1位を獲得した作品でもあります。
かなり長い小説ですが、ちょっと変なドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャの馬鹿らしい行動が本当に面白く、笑ってしまう作品。
今作もスペインに対する風刺が入った作品ですが、そんな事気にせず楽しめます。
結構お固い印象を持つ岩波文庫からの出版ですが、非常に読みやすいです。
<6.海底二万里/ジュール・ヴェルヌ>
ネモ船長と新鋭潜水艦ノーチラス号による海洋冒険譚。あっ、でも主人公はピエール・アロナックスとい海洋生物学者です。
こちらもかなり長い冒険譚ですが、やはり圧倒的に読みやすくワクワクするお話です。全く古さを感じません。
尚、今作を読んでからアニメ「ふしぎの海のナディア」を見ると面白さ倍増です。
<7.羊をめぐる冒険/村上春樹>
村上春樹の作品はどれが一番好きか迷います。
「ノルウェイの森」や「海辺のカフカ」といった作品も好きですが、初めて読んだ村上春樹作品がこの「羊をめぐる冒険」で非常に感慨深い作品なのでコレを。
「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」に続く「僕と鼠もの」シリーズの完結作ですが、そんな事は気にしなくとも楽しめます。無論読んでいるともっと楽しめます。
羊男という人間でない存在、本当には存在しない存在が現れる、村上春樹の得意とするマジックリアリズムを楽しめる1作です。
<8.恋文の技術/森見登美彦>
私が現代に生きる小説家で最も好きな作家がこの森見登美彦です。
彼の作品は本当にどれも面白く、そして時に全く違う色の小説を書くので1作選ぶのが非常に難しい。
ですが、何も気にする事なく馬鹿らしく、腹の底から笑えるこの「恋文の技術」は本当におすすめ!!
全てが書簡形式で進む物語も非常に美味。
<9.向日葵の咲かない夏/道尾秀介>
なんでこの小説を読んだのか全く記憶していませんが、脳味噌の端っこにずっとこびりつく様な強烈な印象を残す作品。
ゾクッとする様な怖さのあるミステリーですが、最後のどんでん返しは評価を二分する作品でしょう。もちろんこの中に含めているので私は好き。
私は先が気になりすぎて夜寝ないで読みました。
<10.斜陽/太宰治>
太宰で始まり太宰で終わる。
太宰の作品で「人間失格」に次ぐ有名作「斜陽」。
太宰自身が非常に自信を持つ傑作で、本当にするすると読めてしまいます。
「戦闘、開始。」っというフレーズがずっと私の中で新鮮に生きています。
今作の中で貴族の娘が登場人物におり、「実際の貴族の女性の言葉使いからかけ離れている」っと志賀直哉や三島由紀夫に指摘されています。
しかし、太宰派の私としては太宰自体が貴族出身であったのにも関わらずそんなミスをするとは思えないし、太宰自体小説は女子供(この頃はまだ女性が十分な教育を受けられなかった為)の読むものっという主張もしていたので、わざと分かりやすい文章で書いたという説を信じています。
以上が私のとりあえずの10選です。是非一度読んでみてください。
No commented yet.