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※2013年5月に書いた記事です。2015年5月にそれまでに発売された「聖なる怠け者の冒険」と「有頂天家族 二代目の帰朝」をランキングに追加しました。
こんにちは柬理(かんり)@keikanriです。
私が森見登美彦という作家が大好きです。彼の書く小説はどれもこれも大好きなのです。
少なくとも私が世にリリースされている作品を全て端から端まで貪る様に読み尽くした経験がある作家は、この森見登美彦と太宰治くらいで今まで2人しか存在しません。
この森見登美彦と太宰治には私の中で共通点があり、それこそ私がこの2人を大好きな理由でもあります。
それは2人とも文章のスタイルに二面性である事。
片方ではすごく偏屈でユーモラスな文章を書き、もう片方では非常に流麗で目にスラスラと流れこんでくる様な文章を書きます。
太宰がユーモラスだというと「人間失格」「斜陽」など有名作しか知らない場合あまり腑に落ちないかもしれませんが、意外にも彼の作品を読み込みとユーモア溢れる作品がたくさんあります。
対する森見登美彦は偏屈ユーモラス文章を匠に扱う事が中心で、たまに流麗な文章でヒヤッとする怪奇小説を書いたりするのです。
という事で私はここ2ヶ月程を使って過去読んだ事ない作品もある作品も、全ての森見登美彦小説を読み直す&読みました。
そこで新鮮な記憶状態で超個人的な森見登美彦小説面白かったランキングTop12を発表したいと思います!
それではどうぞ!
個人的森見小説面白いランキングTop12
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それでは今回は森見登美彦の”単行本”として発表されている以下12作品を対象とさせて頂きます。
・太陽の塔
・四畳半神話大系
・きつねのはなし
・夜は短し歩けよ乙女
・【新釈】走れメロス 他四篇
・有頂天家族
・美女と竹林
・恋文の技術
・宵山万華鏡
・ペンギン・ハイウェイ
・聖なる怠け者の冒険
・有頂天家族 二代目の帰朝
尚、森見登美彦作品に面白くない作品はございません。なので決して12位だからのいってもそれは面白くない訳ではないのです。
面白いのだけれども他が面白すぎるからしょうがなく12位になっているのです。だから12位だからといって侮るなかれ!読むべき作品ではあるのです。
12位.有頂天家族 二代目の帰朝
愛すべき毛玉。有頂天家族の続編となります。このあとにまだ1冊続く予定になっております。
少なくとも有頂天家族が気に入った方は絶対に気に入る作品ですが、そもそも有頂天家族を読まないと100%楽しむ事ができないので、今作から読むのは避けた方が良いでしょう。しかしその喜劇のキレはそのままで特に最終章のハチャメチャ加減は最高。
でも絶対前作読んでから読んでね。
書評:「有頂天家族 二代目の帰朝」は前作を読んでから読むベシ!
11位.聖なる怠け者の冒険
森見登美彦お得意の妙ちきりんな文章で、妙ちきりんな物語が心地良い作品。
少し途中で登美彦氏にしてはダレる部分があるように感じてはいますが、何だかんだ言っても貪る様に読みました。
趣味は週末の夜更かしをして「お嫁さんができたらやりたい事リストを修正する事」というかなり馬鹿げた人間が主人公というだけで、それだけほら読みたくなるでしょう。
森見登美彦お得意のマジックリアリズム満載です。
書評:僕は人間である前に怠け者です【書評】「聖なる怠け者の冒険」by:森見登美彦
10位.ペンギン・ハイウェイ
今までの森見作品とは一線を画す作風で、初めて舞台が京都以外になり、そして主人公は小学生。
SF要素のある作品ですが決して難しい内容ではなく誰でも楽しく読めるSF冒険物といった印象です。
異色の作品ではありますが、とても面白い!
【書評】海なき町に突如現れるペンギンの謎を追う-森見登美彦さん「ペンギン・ハイウェイ」
<9位.きつねのはなし>
森見登美彦の経歴では序盤に書かれた作品ではありますが、この作品にはかなり驚かされました。
今まで「太陽の塔」「四畳半神話大系」とユーモア溢れる作品を書いていた彼が、いきなり美しくも少し涼し気な印象を持つ文章で、京都を舞台にした怪奇物語を書いたのですから。
短編4話が収録されており、いずれもゾクッとする怪奇物語。4話それぞれに共通点もあり、先が気になって一気に読んでしまいたくなる作品です。
書評:京都を舞台とした背筋がゾクリとする4つの怪談「きつねのはなし」by森見登美彦
<8位.有頂天家族>
三部作になると言われる「たぬきシリーズ」作品の1つで主人公はたぬき。
他には天狗も出てくるのですが、この内容は決して気味の悪い怪奇話ではなく、可笑しくでしょうがない喜劇です。
2013年7月にアニメ化もされますので原作を読んでから是非。
書評:祝!アニメ化も決定。森見登美彦さんが書く天狗、人間、タヌキが織りなす痛快喜劇「有頂天家族」
<7位.【新釈】走れメロス 他四篇>
純文学の名作短編5話の舞台を現代の京都にうつし、森見的味付けがなされた作品。
単純に秀逸ともいえる作品から、森見登美彦らしい偏屈ユーモア文章をふんだんに使った作品などその味付けは様々。
原作が好きな方も是非読んでほしい作品です。
書評:古典的名作をオマージュした実験的作品「新釈 走れメロス 他四篇」
<6位.宵山万華鏡>
京都祗園祭宵山を舞台に6人の主人公から見た6話の短編が収録。
この作品も短編毎に色が全く違い、くつくつと笑いたくなる喜劇から、ヒヤリとする怪奇話まで様々。
京都祗園祭宵山というか、日本のお祭りにある華やかでありながらちょっと怪しい雰囲気も恐いくらいに伝わってくる作品。夏の夜にこそ是非読みたい。
<5位.四畳半神話大系>
アニメ化も一度されているので、もしかしたら森見登美彦作品で最も有名な作品かもしれません。
4話の短編ですが、その4話とも同じ主人公によるパラレルワールドで大学1回生の時に異なる4つのサークルを選んだ場合のお話。
最後のオチも秀逸で何度読んでも素晴らしい。アニメの出来も素晴らしく原作読了後に是非!
<4位.夜は短し歩けよ乙女>
上記「四畳半神話大系」の登場人物も登場する作品。主人公とヒロインの恋物語りではあるのだが、そこは森見登美彦一筋縄ではいかない。
この作品の素晴らしき点は
「黒髪の乙女であるヒロインが可愛すぎる事!!」
これに尽きるかもしれません。
<3位.美女と竹林>
森見登美彦という人物がどういった人物なのか知るには、この作品を読むのが一番手っ取り早いでしょう。
森見登美彦初のエッセイでなぜか竹林で竹を切ったり、何の益にもならない妄想を書き綴ります。
森見ファンには特に楽しめる1冊です。
書評:実に実益のない事しか書いていないのに文章がおもしろい「美女と竹林」
<2位.太陽の塔>
私が森見登美彦を初めて知った1冊であり、彼の最初の作品です。
1冊にほとばしる男汁が最高に面白く、初めて読んだ時に
「兄貴!一生ついていきます!!」
と心で感じたもんです。20代前半で書いたとは思えない偏屈ユーモラス文章による文字が最高に楽しきかな。
<1位.恋文の技術>
この作品がどれほど人気あるのか知りませんが、私はとにかくこの本で何度声に出して笑ったかわかりません。
ファミレスで、カフェで、読みながら声を出し笑い店員や周りのお客さんから白い目で見られた感慨深い作品です。
全て書簡形式となっており、ページ数は多いのですが非常に読みやすい。そして何より面白すぎる。私の渾身のおすすめ小説です。
<何度だって言おう!森見登美彦作品は全て面白い!!>
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何度だって言いましょう!!
森見登美彦作品は全て面白い!!
森見作品には作品を通して同じ人物、組織、食べ物などファンがニヤリとする仕掛けもたくさんです。
しかし、どの作品から読んだって構いません。
是非一度森見作品を手にとって彼の世界にどっぷりハマってみてください。
彼の作品はアニメ化もされており、かなり原作通りに作られているので、どれも面白いです。まずはアニメからその世界観に触れてみてもいいでしょう。
このランキングは面白さではなく森見先生らしさがいかに出てるかのランキングかな。