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こんにちは柬理(かんり)@keikanriです。
サラリーマン時代発生していた森見登美彦氏の小説ブームが、2013年の今また再発しております。
一度読んだ小説からまだ読んでいない小説までガッシガシと毎日文章を目から入力し、脳で処理してこうやって書評として出力しております。
今回まだ読んだ事のない「宵山万華鏡」を読んでみましたが、あまりの面白さに1日たらずで一気に貪り読んでしまいました。
森見作品には数ある面白小説がありますが、その中でもかなり上位に入ってくる作品だなと読み終えて感じています。
彼の得意とするマジックリアリズムと他作品の絡み合い、章毎の1つ1つの物語とその登場人物が複雑に絡み合うその展開はまさに圧巻でした。
<6人の登場人物が絡みあう祇園祭宵山の1日>
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この「宵山万華鏡」の一冊で6つの物語があり、それぞれ6人の主人公による宵山の1日を描いたものです。
第1章:宵山姉妹(主人公姉妹の妹)
第2章:宵山金魚(主人公初めて宵山を楽しむ藤田)
第3章:宵山劇場(主人公京都の大学生小長井)
第4章:宵山回廊(主人公15年前に宵山で従妹が行方不明となった千鶴)
第5章:宵山迷宮(主人公画廊の経営者柳)
第6章:宵山万華鏡(主人公姉妹の姉)
この主人公達と、何人かの重要人物達(それが過去森見作品で登場した人物もいる)が祇園祭宵山(7月16日)の1日で複雑に絡み合います。
「あぁこの伏線はココに繋がるのか!!」
「あの話はココとリンクしてるんかぁぁぁい!!」
っとある意味アハ体験的な快感を何度も得る事ができます。1章1章は約30分もあれば読めてしまうので、この繋がりが楽しくて楽しくて一気に読めてしまいます。
<森見氏らしいみょうちきりんな物語と妖気的物語>
私にとって森見登美彦氏といえばそのみょうちきりんな文体で一気に読ませる手法が特徴だと思っています。今回も第2章、第3章はいつも通りの森見ワールド全開で笑いながら楽しむ事ができます。
が。
第1章、第4章、第5章、第6章と少しゾクっとする様な妖気的な話で、コレもまたその世界観に引き込まれていきます。
日本最大級のお祭り、祇園祭本祭である山鉾巡行の前日に行われるのが宵山。確かにお祭りというものはその独特の世界観にワクワクとしながらも、妖気的なゾクゾクとした雰囲気を感じられるものです。特に昔ながらの伝統あるお祭りというものには・・・
しかしながら、このみょうちきりんバカ物語と妖気的物語さえもリンクしてしまう森見登美彦なる男の手腕は本当に脱帽でした。
私はこの3月に読んでしまいましたが、是非7月、暑さ多少和らぐ夏の夜に楽しみたい極上の1冊でした。
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