会話の裏に隠れる心理描写にのめり込む【書評】ローラ・フェイとの最後の会話

ローラフェイ

なんか上の写真だと道尾秀介の本かと勘違いしますが違います。トマス H.クックという方の小説です。

子供の頃から歯に何か異常が発生すると通っている歯医者があります。私が小学校の頃からやっている歯医者1人でやっている老舗歯医者なのですが、そこは待合室の本が気にいれば適当に持って行っていいよ。っているスタンスなのです。

そこの本棚が個人的には結構面白くて大好きな森見登美彦やコナン・ドイルや村上春樹が並んでいたり、ショーペンハウエルなんかもあったりとざっくばらんに色んな本があるのですが、その中に今回紹介するトマス H.クックのローラ・フェイとの最後の会話がありました。

推理小説、ミステリが好きな私ですが、まだまだ知らない本も多いので「おい、なんだこのハヤカワ・ミステリは?」と手に取り、受付の人に一応これ頂きますね!と一声かけて読み始めたのですが、これが中々面白い本で、じっくりのめり込んだ本だったのでご紹介します。

ローラ・フェイとの最後の会話あらすじ

とりあえずAmazonにあるあらすじをご紹介します。

大きな野心から生まれ育った小さな町を憎み、故郷を捨てた青年ルーク。20年後、夢破れて二流の学者となり、講演でセントルイスを訪れた。会場で再会したのは―ローラ・フェイ。かつてあの町でルークの家族に起きた悲劇の引金になった女性だった。彼は彼女に誘われ、昔を語り合う。“あなたも故郷を思い出すことがあるのかしら?”その会話は、ルークをゆっくり導いてゆく。知りえなかった女の過去と驚愕の真実に…。

300ページ以上ある小説になりますが、基本は主人公で大学の講師をしているルーク、そして過去に同じ街に住み、ルークの父が経営するバラエティストアで働いていたローラ・フェイとの会話、そしてその会話中のルークの心の描写が中心となります。

Keikanri的「ローラ・フェイとの最後の会話」を読んでこう思った

とにかく心理描写が面白い。

物語の中ではルークの父の死、母の死、そしてローラ・フェイの夫の死といった事実に関する物語が会話の中心になるのですが、ルークだけが知っている事、そしてローラ・フェイだけが知っている事があり、その事について切り出していく箇所が非常に丁寧に練りこまれていて、続きが気になって一気に貪り読んでしまいました。

様々な死の中でルークはどうやって考え、そしてどう動いたのか。それが少しずつ紐解かれていき、ローラ・フェイに関する誤解も溶け、そしてローラ・フェイが知っている事実を知るルーク。

と物語は会話の中で少しずつ少しずつ、じれったいくらいに丁寧に進みます。

はい!なんか場所に移動します(ドーン!)、はい!事件起きます(ドーン!)、はい!名探偵でした実は俺(ドーン!)名探偵がっちり証拠見つけ始めました(ドーン!)、はい!全員集めます(ドーン!)犯人おまえ!(ドーン!)

という往年の推理小説、ミステリが好きな方(私も大好きですが)には少々じれったいと感じるかもしれませんが、絡みきった糸が少しずつ解けていくような感覚で本を読み進める人には非常に面白い本ではないでしょうか。

また私はトマス H.クックの本をはじめて読んだのですが、調べてみるとトマス H.クックはよく救いのないような結末を書く事が多いですが、この「ローラ・フェイとの最後の会話」は完璧なハッピーエンドではありませんが、多少救いがある結末となっています。

トマス H.クックの初期を読んで、そこが嫌だった人も是非再挑戦してみては如何!?

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