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こんにちは柬理(かんり)@keikanriです。
過去の名作を使って自分の作品につくり上げる事をパクリといったりオマージュといったりします。
まぁパクリは良くないと思いますが、過去の作品をうまく自分だったらどうするか考えてその人なりの色を加えた作品であればとても面白くなるものでしょうし私的にはアリなやり方だと思っています。
私は森見登美彦という作家が大好きなのですが、彼が超面白い試みをやってくれました。
それは「新釈 走れメロス 他四篇」
というタイトルの本なのですが、過去の名作の骨組みを参考にその舞台を京都に移し、頭のなかにある妄想キャラクターを当てはめ、作品によって森見登美彦節とも思わせる偏屈な文体と流麗な文体で描かれます。
すごく実験的なこの作品の魅力をご紹介致しましょう。
<古典的名作5つの話を京都を舞台に>
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この「新釈 走れメロス 他四篇」
ですが、タイトルの通り5つの短編が収録されており、どれも上記の通り古典的名作が元となっています。
その元となっている作品が
1.中島敦著「山月記」
2.芥川龍之介著「藪の中」
3.太宰治著「走れメロス」
4.坂口安吾著「桜の森の満開の下」
5.森鴎外著「百物語」
今回のこの5作品ですが、森見登美彦節とも言うべき妙ちくりんでユーモラスで偏屈な文章をコレでもかと楽しめるのは「走れメロス」一択でしょう。
芽野史郎は激怒した。必ずかの邪知暴虐の長官を凹ませなければならぬと決意した。芽野はいわゆる阿保学生である。汚い下宿で惰眠をむさぼり、落第を重ねて暮らしてきた。しかし厄介な事に、邪悪に対しては人一倍敏感であった。
という冒頭から明らかにコレ面白いだろうという事が余裕で伝わってきます。
又、他四篇についてはいつもの森見節ではありまえんが、過去にもあった「きつねのはなし」
でも使われていたもう1つの森見登美彦。流麗で読みやすい文体で作品が書かれます。そしてコレもまた面白さは無類。
特に上記原作5作品を読んでいなくても楽しめる作品です。事実私も芥川龍之介著「藪の中」、森鴎外著「百物語」の2つはまだ読んでいません。
が、今作を読むことで読んでいない作品を読みたくもなりますし、こういった過去の名作にも目を向けられる効果も今作にはあるのかなと感じています。
もちろん原作支持者にもおすすめ!ですがね。
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