【書評】実に実益のない事しか書いていないのに文章がおもしろい「美女と竹林」 by森見登見彦

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photo credit: Houser via photopin cc

こんにちは柬理(かんり)@keikanriです。

世の中にはエッセイなる文章がありますね。随筆とも言われますが内容としては

個人的観点から物事を論じた散文。また,意の趣くままに感想・見聞などをまとめた文章

といった文章の様です。

私は森見登美彦なる作家が大好きで会社員時代序盤にハマりまくっていました。その後あまり読まなくなってしまったのですが、最近一度読んだ作品含めてよく読みます。たっぷり読みます。貪り読みます。

今回初めて読んだ作品なのですが、2008年に発表された作品で「美女と竹林」なる本。

タイトルだけ見ると何が何やらわからない内容の本ですが、森見さん自身恐らく初となるエッセイ形式の単行本です。今まで偏屈で怪奇的で爆笑ものの小説しか書いていない彼が一体全体どんなエッセイを書くのか私興味しんしんでございます。

その内容はある意味素晴らしいものでしたよ・・・・

感想をここに記しましょう!

<内容は全編に渡って妄想と現実の狭間>

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photo credit: Wi2_Photography via photopin cc

この本の内容は超大雑把に書くとこんな感じ

森見さんエッセイを頼まれる(どうしよう)

好きなもん書くか、うーーん、美女・・・あと、竹?

知り合いに竹林もっている人いたな

竹林の手入れ

中々手つかず(妄想ゾーン)

~妄想ゾーン~

~続・妄想ゾーン~

まぁこうやって書いていても感じたのですが、全くもって内容が無い。っいや。無いというとい失礼かもしれませんが。

この本の中で森見さん自身が

裏山の和尚に「実益のない事しか語る事ができない」という呪いをかけられた

という文章がありますが、本当にそんな感じ。基本的には竹を友人や編集部の人と刈ったり、なぜに忙しくて竹林に出かけられないのかという言い訳を竹林の管理者にする妄想や、竹林を用いたベンチャー企業森見・バンブー・カンパニー(MBC)の設立して倒産するまでの妄想などなど。本当に唯のやった事と妄想だけで300ページ以上がなされる恐ろしき本なのです。

コレも森見さんが得意とするマジックリアリズムの手法の1つなのですかね。

<実益はない。けど読んでしまう!ページをめくりたくてオラしょうがねぇ!>

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photo credit: Richard Wehrenberg, Jr. via photopin cc

本の内容は上記の通りあまり実益がある事ではございません。

著書「夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神」
で書物とは先人達の困った事に対する解決方法が書いてある物だ。だからこそ読む価値がある!といった様な記述があった記憶がありますが、見事に何の問題も解決せずに日常と妄想のみを書き貫き通すのです。

しかし!!しかしながら!!

今までの私の紹介を読むと読む価値が無い様に感じるかもしれませんが、そんな事はありません!どうか後生ですからその魅力を読むまで「戻る」ボタンやBackspeceキー、右上の×ボタンを押すのはお待ちください!

私はこの「美女と竹林」のページをめくるのが楽しくてしょうがありませんでした。何たる偏屈で楽しい文章!内容は全くないのに文章だけで楽しめてしまう!!

よく私はレンタルビデオ屋で難解そうな映画を借りる時、何も考える事なく楽しめるお笑いビデオやアニメを一緒に借ります。ずっとむつかしい映画を見るのは疲れてしまうからです。いくら好きでも疲れるのもは疲れるのです。

まさにその何も考える事なく楽しめる文章がこの「美女と竹林」なのです。

こういったただ単にふふふんと笑って楽しめるものというのは非常に重要だなぁと再認識しました。

どっぷり森見偏屈王の文体を300ページ程味わっていみてください。

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