最強プログラマー デビッド・カトラーに学ぶ物作りの仕方【書評】「闘うプログラマー」

medium_3641406443
photo credit: Eric Gilliland via photopin cc

Microsoftの鬼のプログラマー、プロ中のプロと称されるデビッド・カトラーをご存知!?

どんな風貌の人かというと上記写真のジャック・ニコルソンを彷彿とさせる顔の豪快なプログラマーです。Microsoftの社員もカトラーを映画化するのであれば、ニコルソンに決まっていると断言しています。

彼のwikiを見れば、その鋭い眼光、そしてマジでニコルソンに似た顔がよくわかります。

彼は本当にニコルソンが演じているかのような一癖も二癖もある男で、まさに豪快極まりない人間です。プロジェクトメンバーを直接殴るような事はなくとも、部下が何かヘマを起こしたり、しょうもないミスを起こせばすぐに激昂します。

ビル・ゲイツはあまりにカトラーがプロジェクト実行中に怒り狂い壁に穴を開ける為、コンクリート張りの部屋をいくとも用意したとの逸話もあります。

そんな彼デビッド・カトラーの人生における、一番の大仕事は1988年にMicrosoftへ入社して、Windows NTの開発のリーダーとなった事。大幅な仕様変更や、毎日のように新しく追加される機能、そして大量のバグ。そんな超絶大変な状況の中で、見事Windows NTを完成させて、Microsoftで、OSの世界に多大なる影響を与えたプログラマーがカトラーなのです。

2013年現在71歳。今だ現役として活躍し続けるカトラーの生まれから、Windows NTリリースまでの怒涛の開発生活が中心となる物語「闘うプログラマー」を今回読みました。

最強プログラマー デビッド・カトラーに学ぶ物作りの仕方

medium_10481690626
photo credit: dumbledad via photopin cc

カトラーははっきり言ってしまうと人間的には問題のある人間かもしれません。

上記の様に壁にすぐ穴は開けるは、ホントすぐに激昂します。又、離婚も2回していますし、親の葬式にも顔を出さない。人の事を滅多な事では褒めないといった部分で、一般的な人間とは言えないでしょう。

しかし、仕事に関して一度ゴールをはっきりさせれば、それに突き進む為に猛烈な仕事をこなします。

そんなプログラマーとしての、物づくりとしての鬼。カトラーの仕事の仕方として私が関心した部分をご紹介します。

1.言葉よりも行動で示す

カトラーはチームの誰よりも仕事をします。

その仕事の猛烈ぶりは凄まじく、朝早くから夜遅くまでリーダーになっても自分でコードを書きまくります。

テストでは自分で率先してドッグフードを食べ(ドッグフードというのはテスト途中の出来損ないのシステム。これを食べる(操作しまくる)事で作成したプログラマー自らバグを見つけていきます)、部下と共に自らが泥だらけになる事で行動で示していくのです。

口だけでは決して人は付いて来ません。山本五十六の有名な言葉、

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ

を実践している人なのかもしれません。・・・・・いや、違いますねww、カトラーは1度しか説明しませんし(2度目聞くと怒るとか)、褒める事もしませんね。

しかし、どんなに歳をとっても行動で示せるリーダーというのは惹かれるものです。

2.チームに全体に都度メッセージを送る

チームのリーダーであるカトラーはビル・ゲイツへのプレゼンや、マスコミへの対応は全くといっていい程行いません。

上記でも書いた様にリーダ-でありながら、どんどんと仕事を自分でこなしていく人間です。

そんなカトラーですが、チーム全体に対しては重要な場面場面でメッセージを送ります。

はっきり言ってしまうとチームに対しての仕事といえば、カトラーはこれくらいしかしていない様にも見て取れますが、そのメッセージは常に自分達は最高の仕事をしている。最高のゴールの為に突っ走っていこう!というやる気溢れるメッセージです。

チーム全体の問題やゴールを常に意識させるメッセージは、個人的には物づくりのリーダーとしてあるべき姿だと感じました。

3.ビルド、テストチームを最も大事にする

カトラーはビルドチーム、テストチームを大事にします。というよりもビルド、テストという行為を大事にしています。

ビルドとは完成したプログラム部品を繋げていく工程で、テストは出来上がったプログラムのバグを、不具合を見つけていく工程です。

特にWinddows NT開発時にはこのビルドチーム、テストチームは高負荷でありながら、いじめられる対象のようなチームでした。

個性豊かなMicrosoftのプログラマー達は決まりなど関係なく、プログラムを持ってきては「早くビルドしろ!」「決まりなんてどうでもいい!早くしろ!」とビルドチームに食ってかかります。

しかし、カトラーは正確にテストされた安全なプログラムでビルドを行う事が、進捗の遅延を防ぐ大きな鍵である事を知っていました。

そんなカトラーはある時期からビルドチームのラボで、ビルドチームと一緒になってビルドを行ってきます。

そしてルールを守らない傲慢なプログラマーに対しては

「雑草のようになぎ倒してやる!!!」

と怒り狂うのです。数百人を超えるチームのリーダーであるカトラーが末端であり地味なビルドを行う事によって、ビルドチームは自分達は重要な仕事を任されている。と認識し、チームの士気も向上したとビルドチームの一員は語ります。

地味なビルド、テストという工程にこそ、力を注ぐ事は非常に重要であるとカトラーは教えてくれるのです。

1つの読み物として本当に面白かった

1387210505026

個人的に会社設立からの物語であったり、何かを作り上げていくノンフィクションであったりとそういった話しが大好きです。今までもGoogleの歴史であったり、Amazonの歴史を読んできましたが、このWindows _NTの開発「闘うプログラマー」も他に負けじと半端無く面白かったです。

もちろんデビッド・カトラー自身も魅力的なキャラクターではありますが、他にも多くのMicrosoftに在籍していた、現在も在籍している個性的な社員が登場します。

特に開発終盤に崩壊しかけるグラフィックチームを救う要因として、新たにMicrosoftに入社する偉大なる伝説のフリープログラマー、マイケル・アブラッシュが入社した後の怒涛の活躍は胸熱でした。

一瞬でビル・ゲイツにも、デビッド・カトラーにも認められ、グラフィックのスピードも早め、バグも修正し、っと

「りょ、りょ、、りょ、、、、呂布だぁぁぁぁぁ」

っと言いたくなるアブラッシュの活躍はまさに一見の価値ありかと。

プログラマー、SEはもちろん。何かチームで1つのものを作り上げている方は是非手にとってみては如何!?

スポンサーリンク

URL :
TRACKBACK URL :

コメントはこちらへ!

*
*
* (公開されません)