率直に言って私はジブリの新作「風立ちぬ」がものすごく面白かったのです。
前評判も良くなかったし、いざ全国ロードショーが始まってもあまり良い意見を聞かない。ブログなどでも酷評が散見されます。
私自身も関東大震災や第二次世界大戦の事をどっぷりと描いた、見ると疲れるおどろおどろしく生々しい作品だとばかり思っていました。しかし、実際には全く異なる、ジブリ作品の中でも久々に心から楽しめた傑作で、本当に感動しました。
ではジブリ「風立ちぬ」の感想を。
震災や戦争の残酷さはほとんど描かれていない
photo credit: Debris2008 via photopin cc
先にも書いた通り「震災や戦争の残酷さ」はほとんど描かれておりません。
関東大震災の凄さを表現する波打つような地面の揺れであるとか、物語を補佐する為に必要な表現はもちろんありますが。
私自身予告にあった壊れた飛行機に主人公がたちすくむ映像などから、物語の大半が戦闘機を作り上げる事や、自分の戦闘機が人殺しに使われるとかそんな感じなのかと勘違いしていたのでこれは驚きでした。
実際の物語は主人公である「堀越二郎」が夢である美しい飛行機を作る人生と、同時に純粋で美しい女性「里見菜穂子」との恋を描くもの。
見れば見る程にのめり込んでいく、いやのめり込まされていった、そんな物語でした。
ファンタジックな世界観
あんなエンジンでは飛ばない。
っとどこかの記事で見たことがあります。私はガンプラくらいしか作った事がないし、飛行機の運転もFFの飛空艇くらいしか操縦した事がないので、エンジンであるとか飛行機であるとかに詳しくないので全くわからないのですが、確かにあまり見たことのない独創的なエンジンも多く登場します。
しかし、この「風立ちぬ」。アニメだからとかそういった事を抜きにして1つのファンタジーの様な印象を強くもちました。
劇中でも主人公が雑誌でしか見たことのないイタリアの著名な飛行機製作者カプローニとの、夢での会話が多く描かれます。
もはやジブリお得意の、1つのファンタジー世界として楽しむべきである。っと私は感じたのです。
泣けりゃいいわけじゃないけど率直に感動した
そんな内容を想像していた私なので、まぁ見終わった後に暗い気持ちにこそなれど、何かしらのポジティブな気持ちなどこの「風立ちぬ」に期待する事は到底していなかったのです。
しかし素直に泣けたのです。
多少ネタバレになりますが、以下の3シーンはすごく印象深いものでした。
1.菜穂子の花嫁姿
2.黒川夫人の「美しい姿だけ好きな人に見てもらいたかったのね」というセリフ
3.最後のカプローニとの夢での会話
結構叩かれているけれど、庵野の演じる堀越二郎のやさしい声質もマッチして大変深い感動を覚えたのです。
うん、ってか「泣けりゃいいわけじゃないけど~」とか書いたけど、泣けりゃいいような気もしてくるくらいな感動は覚えたのですよハイ。
でもつまらないと感じる人もいるのは実感した
しかしながら「あぁつまらない」と感じる人が多いんだろうな。っというのも肌で感じたのです。
映画館にいた小学生達は途中で結構飽きていたように見えましたし、私の席一つ空けて座っていた若いカップルの男性は始まって中盤から爆睡していましたし(女性は泣いていたのでアレは映画が終わった後一悶着あったに違いありません)、他にも結構寝ている人がいたのも事実。
2時間以上の作品で多くが飛行機に情熱を注ぐ主人公の描写なので、つまらない人には全くもってつまらないのでしょう。
個人的にはジブリの映像美、ファンタスティックな飛行機、ウマそうに吸うタバコ、1つ1つの味のある会話を吟味しながら見てあっという間に終わってしまいました。
この「風立ちぬ」。事前の前評判に騙される事なく、自分の目でしっかりと見て判断してほしい作品です。
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