「かぐや姫の物語」の存在を知ったのは、宮崎駿監督の引退作(今のところ)「風立ちぬ」の上映前に流れた予告編でした。
その独特なタッチの、バガボンドばりの筆で描いたような背景の上に、鬼の形相のかぐや姫がメロスばりに走りこんでいるシーンを見た時は、
「何これ本当にジブリ?本当に高畑監督の作品?」
と思ったものです。
しかし私は「平成狸合戦ぽんぽこ」を筆頭に、高畑監督の作品は大好きなのでものすんごい興味を惹かれました。という事で公開初日の2013年11月23日に早速見て来ましたので、簡単に感想を。
水彩画のような優しい世界観が素晴らしい!
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映画館ではレイトショーで見た事もあるのかもしれませんが、初日にも関わらず結構なガラガラっぷりでした。やっぱり高畠監督は宮崎監督に比べればネームバリューが乏しいのでしょうか。
始まってみると早速中学生で習った「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。」というセリフから始まります。
ジブリではお馴染みの背景、男鹿さんのいつもの油絵の様な綺麗でいて温かみのある風景とは一風違った、水墨画、水墨画の様な背景に初見で戸惑いながらも徐々にその世界観にはスッと目に入り込んできて、いつものジブリ同様の温かみを感じる絵となっていきました。
尚、予告編を見た事がある方は上記のも書いた様に私と同じく、
バガボンドばりの筆で描いたような背景の上に、鬼の形相のかぐや姫がメロスばりに走りこんでいる映画。
と感じ敬遠しているかもしれません。しかし実際にはこの演出は映画のなかでもほんの少し、予告編の部分だけ演出です。
ちょっとあの演出が続くと敬遠している方は安心して見てほしいのですよホント。
内容はまさに竹取物語そのまま
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内容はまさに中学校の頃に習った竹取物語の流れそのままです。
そのストーリーの骨組みは全く変更せずに高畑監督流の肉付けが様々な箇所に盛り込まれ、一部は先が読めるにも関わらず、ジブリ史上最も長い137分間終始飽きる事なく楽しむ事ができました。
個人的には故地井武男さんによる竹取の翁の演技は素晴らしく、かぐやが赤子の頃本当に可愛い可愛いと声を裏返しながらあやすシーンや、かぐやを高貴な姫にしたい一心で、かぐやの願いとは全く違う行動をしてしまう、しかし本当にかぐやを愛しており、彼女を守りぬこうと頑張るシーンは感情移入を後押ししました。
その独特なタッチで描かれるかぐや姫は赤子の頃はコロコロとして本当に可愛く、子供の頃の山を駈けるかぐやも生き生きと魅力的、成長したかぐやも美しく。この新感覚なタッチは、見ていて目が楽しいものです。
個人的には素直に楽しい作品でした。
個人的な感想としては、あの演出や、竹取物語がベースという部分で嫌気が差し見ていない方は凄く損をしているなという感想です。だって素直に面白かったんですもの。
素人である私には表情を出しづらいのではと思われる水墨画、水彩画タッチの絵ですが、その表情は本当に豊かで、喜怒哀楽はわかりやすく、そして物語自身もすごく分かりやすい。見終わった後は素直に良い映画だと感じますし、良い時間を過ごしたと感じます。
巷に溢れる「よーわからん、」という印象の映画よりもよっぽど楽しめました!
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