最後の結末は読者に委ねられる【書評/ミステリー】火刑法廷 byジョン・ディクスン・カー

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密室殺人事件は推理小説ではよく使われる題材ですね。私も小学生時代金田一少年の事件簿とコナンで何度も密室トリックを読んだものです。

もちろん推理小説、ミステリー小説でも密室殺人事件を題材にしたものは多いです。密室を得意とする作者の1人にアメリカのジョン・ディクスン・カーがいます。

ジョン・ディクスン・カーも今まで読んだ事なかった私ですが、「いや普通に面白いよ」と友人から聞き、とりあえず彼の最も評価の高い作品、東西ミステリーベスト100でも見事10位に輝いた「火刑法廷」を読んでみたので、その感想をば。

Keikanri的「火刑法廷」あらすじ

仮面舞踏会の夜、マイルズの叔父であるマークが死亡する。病死と診断されるが、マークは使用人の話をもとにあれはヒ素による殺人であるとティーヴンスに伝える。又、その頃出版社の編集者であったティーヴンスは、実在する殺人事件を徹底的に調べあげて描く流行作家のゴーダン・クロスの新作を受け取っていた。

その新作は17世紀のフランスに実在した女性毒殺殺人犯が描かれており、添えられた写真は妻であるマリーに瓜二つであった。

使用人はマークの部屋でとある女性の後ろ姿を見ており、その女性によってマークがヒ素を飲まされた姿を見たという。しかし、女性はその部屋から突如消えてしまった。

マークが本当にヒ素によって死んだのかどうか、マイルズ、スティーブンス、そしてマイルズの友人であり元医者であるパーティントンと使用人の夫と共に地下納骨室を掘り返す。が、そこに叔父マークの遺体は存在しなかった。

ってな感じです。

「火刑法廷」を読んでこう思った

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photo credit: Great Beyond via photopin cc

この作品には2つの密室が存在します。

まずは叔父のマークの部屋から犯人はどうやって脱出したのか。そしてどうやって地下納骨室から叔父マークの遺体を盗み出したのか。

この2つの謎が中心となって話が進みます。

話の終盤までよくある探偵ものの天才的ひらめきをもった主人公。のような人物は存在せず、警察官によって少しずつ関係者のアリバイや行動がわかってきます。

そして終盤突如現れる流行作家のゴーダン・クロスが、まさにホームズのような天才的な頭脳の持ち主で事件を解決します。

が、するのですが。

ネタバレになりますが、その後のエピローグのよって読み手は一瞬で真相がわからなくなるという構成に。最後の結末はどちらを信じるか読者に委ねられるのです。

本格的な推理小説である結末を信じるか、怪奇小説的な結末を信じるか。好きな方をあなたは選ぶ事ができます。どうぞお好きな方を選んでください。

でもこのエピローグがあってもなくても緻密に計算された面白い推理小説でした。

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