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「2014年君は3回も滋賀県に来たのだから、琵琶湖1周ロングライドに参加しなくちゃいけない」
と荻山氏は言った。
「何故か知らんが、俺は琵琶湖1周ロングライドに参加する事になっている。勝手に上司がエントリーしていた。そして周りの医師に聞くと滋賀県に住んだのなら琵琶湖1周ロングライドに参加するべきだと言う。全員敵である。」
と荻山氏はさらに続けた。現在彼は滋賀県のとある病院に研修医として働いているのだが、2015年の2月は外科に配属となったらしい。どうやら外科は手術も多く立っている事が多く、体力が必要という事でそこには体育会系な医師が多いらしい。
そんな事で配属初日、3月にあるびわ湖マラソンに参加せよとの誘いがあったらしいが、その日既に彼は外科ではない、また4月から京都の病院に移るのでその引越で忙しいというもっともらしい事を言って逃れた。
しかし、何故かそのマラソンの後の日程となる2015年3月15日(日)に開催される、琵琶湖1周ロングライド2015には既に参加前提で話が進んでいるらしいのである。
さらに言うと一緒に出場予定だった先輩の医師は既に手術が予定されてしまったので、不参加となり荻山氏のみが参加という状態となったらしいのである。
琵琶湖1周ロングライドは過酷である。実際に琵琶湖を一周すると200km近くになるが、今回は琵琶湖大橋を活用し琵琶湖を横切る形でショートカットし、1400人と一番参加人数のお多いロングライドコースで約148kmとなる。 それを9時間30分以内に走りきれればOKらしいのである。
「俺は当初家にあるママチャリで参加しようと考えた。一度埼玉の春日部から千葉の銚子までチャリで行った事がある。多分あれは200km近くあったはずだ。無論次の日に俺の足は息絶え、レンタカーでトラックを借りてママチャリを積んで帰ったが、俺は恐らく問題はない。問題は君だ。君にその体力があるか疑問である。」
何故か既に私が参加する方向で話が進んでいる事に驚きを隠せなかったが、荻野氏はそのまま続ける。
「とりあえず土曜日にまず君は新幹線なり深夜バスで滋賀県に来る。そして土曜日は盛大に焼き肉を食べて体力をつけようではないか。そして次の日、琵琶湖1周ロングライドは朝5:45からスタートとなるから、5時頃に起きてスタート地点となる長浜に向かう。そして夕方頃にはゴールし、さらにこの日も焼き肉を食べて労をねぎらう。完璧だ、君も俺も人生最後の滋賀県を満喫しようではないか」
と続ける。はっきり言って私は今体力に自信がある。月に100km以上走っているし、毎週バスケを2時間以上している。ブラジリアン柔術にも参加している。過去関東平野まっただ中の埼玉春日部から、埼玉の奥地長瀞まで死ぬ気で自転車をこぎ、カナブンに体当たりされたりしながら150kmを走った事がある。無論その日の夕方何も動かなくなったが。
「ナメてはいけない。私をナメてはいけないよ君。私は君と違って毎日運動をしている。29歳にしては動ける方だ。しかし、その日は日曜日。どう考えてもその日148kmも走ってから新幹線で帰って次の日に業務はキツすぎるだろう。いや本当に行きたい!もちろん参加したい!!琵琶湖超一周したい!!ホント時間が許すのならっ!あぁ参加したいっ!」
「・・・・ふむ仕方あるまい。初日は近江牛、2日目は飛騨牛を食べつくすプランだったが仕方あるまい。」
と言い荻山氏は電話を切った。
次の日私は朝開口一番上司にこう伝えた。
「3月16日の月曜日は休みます。何故か琵琶湖を一周しなくてはいけないので」
っと。
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