20年ぶりの恋を追い求める。現実と違う世界で【書評】「1Q84」by村上春樹

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photo credit: Pandiyan via photopin cc

多少ネタバレがありますのでご注意。

ちょっとずつちびちびと読み進めて、やっと読み終わりました「1Q84」。

私は村上春樹さんの作品を全て読んだ人間ではないですが、今までの彼の作品の中でも最も長い濃密な作品だと感じています。

今まで私も「アンナ・カレーニナ」「ドン・キホーテ」「海底2万マイル」などなど、色んな長編小説を読んできましたがここまで長い作品を読み込んだのは初めてです。

村上春樹さんの小説はよくマジックリアリズムが活用されます。現実には存在しない幻想的な生き物や景色、背景などがリアルに生々しく表現されます。

今回も

リトル・ピープル
パシヴァ
レシヴァ
2つの月

などなど。現実には存在しない物。そして現実が入り交じっていくのです。読み進める程に

「リトル・ピープルってなんだ?」
「何で月が2つあるの?」

などなど謎はどんどんと読み手に提示され、飽きる事がありません。

神視点で綴られる3人の主人公の物語

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photo credit: naoyafujii via photopin cc

この小説の大きな特徴。っというよりも村上春樹さん自身の特徴でしょうか。私自身彼の小説を3年ぶりくらいに読むので詳しくは覚えていないのですが。

今回は神視点で物語が綴られていきます。

序盤4巻までは「青豆(あおまめ)」「天吾(てんご)」という小学校の頃から想いを寄せながらも離れ離れとなる2人の男女。そこに5巻から私のイメージではゴブリンの様な見た目の「牛河(うしかわ)」がもう1人の主人公として加わります。

終盤にいけば行くほどに、様々な謎、伏線がカチっと音を立ててハマっていくのはまさに快感。こんなに飽きを感じない長編も珍しい。

「1Q84」「猫の町」2つの月がある世界

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photo credit: silgeo via photopin cc

小学校の時、10歳で出会う青豆と天吾。そこから彼らは心のどこかで想いを馳せながらも共に30歳になります。

そんな同じ意識を、想いを持つ2人が再び20年後に出会う世界は青豆の言葉を借りれば「1Q84」、天吾の言葉を借りれば「猫の町」という2つの月が存在する世界。

この2人が出会うまでに様々なドラマと物語。それは主人公以外にもメジャー級のゲイだけれど元レンジャーでボディガードのプロ「タマル」、DVを毛嫌いする「老婦人」、頭の切れる編集者「小松」など魅力的なキャラクターが絡んで綴られていきます。

長編だからと意識して読まないのは大変もったいない作品です。

寝る前に1章、2章楽しむ感じで1ヶ月、2ヶ月かけてでもじっくり読んでほしい。美しく、悲しく、でも私はハッピーに感じた素晴らしい小説でした。

公式HP

村上春樹『1Q84』 新潮社公式サイト

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